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第2回 行動せよ、さらば与えられん

  • 連載 大川翔
  • 2018.12.28

大川翔(おおかわ・しょう)

1999年生まれ。5歳のときカナダへ。9歳でカナダ政府にギフティッドと認定され、12歳で中学を飛び級し高校へ進学。2014年春、ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)、マギル大学、トロント大学などカナダ名門5大学に奨学金付きで合格し、話題となる。同年6月、14歳でトーマス・ヘイニー高校を卒業し、同年9月にUBCへ入学。2015年1月、カナダ政府からカナダ総督アカデミック・メダル賞受賞。2016年12月、UBCサイエンス学部長賞受賞。2017年夏、アメリカ・グラッドストーン研究所(山中伸弥教授)にてインターンを経験。2018年5月、18歳でUBCを卒業(バイオロジー・オナーズ)。同年7月、孫正義育英財団第2期生に合格。8月から、東京大学先端科学技術研究センター(谷内江望准教授)にて研究を開始する。2019年4月、19歳で慶應義塾大学大学院(修士課程)に入学。著書に『ザ・ギフティッド 14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児の勉強法』(扶桑社)、『僕が14歳で名門5大学に合格したわけ』(学研プラス)がある。

「やりたいこと」にめぐり会うには

よく、「将来何をしたらよいかわからない」、「やりたいことがない」、という話を聞きます。「天職を見つけられるかは運」だと言う人もいます。実際に自分の好きなこと、やりがいのある仕事についている人はごくわずかなため、こんな表現になるのでしょう。しかしその一方で、天職を見つけて、その仕事に邁進している人たちもいます。どうすれば自分のやりたいことにめぐり会えるのでしょうか?

生物学に興味を持ったきっかけ

僕自身の経験をいくつかお話ししましょう。僕が小学生のとき、クラスメイトに糖尿病の女の子がいたんですね。当時の僕は、この子の病気を治せたらヒーローになれるかなあなどと妄想したりしていました。今思えば、それが生物学に興味をもったきっかけだったかもしれません。そう考えると、僕が最初に生物学に興味を持った動機はけっこう不純だったりしたわけです。

また、僕は小学生のときからケアホームを訪問したり、お年寄りにガジェットの使い方を教えるボランティアをしたりしてきました。長く生きている方は、人生の大先輩であり、多くの苦労や苦難を乗り越えてきています。このボランティア経験を通じて、そういう方々からは、いろいろなことが学べることを知ったのです。

僕は小学校3年生のときに、祖父をがんで亡くしています。祖父は幼い僕に、たくさんアドバイスをしてくれました。「『形』が大事。自分の『形』を作れ。そのためには、最も上手い人のマネをしろ。最初はマネで良い」などです。僕はこの祖父の教えを、困難に突き当たったときに実行するようにしています。けれど、祖父は他にも僕にいろいろと伝えたいことがあったのではないかとも思っています。もう少し長生きしてくれれば、もっと話を聞くことができたのにと思うと、残念でならないのです。

健康で長生きできる身体を手に入れる。そのためには多くの課題が残されています。僕は、アルツハイマー病や糖尿病、がんなどの治療が難しい病気の克服につながる研究に携わることができたら、と考えるようになりました。もともと僕たちの身体はどのようにして作られてきたのか、それをふまえて、僕たちの身体をどうやって治していけばよいのか、その謎を解明したいと思ったのです。高校時代、生物学を専攻しようと漠然と考えていた時期です。

行動することで「運」を引き寄せる

しかし、結果として、実際に生物学の世界に進むことになったのは「運」だと思います。 高校時代、僕は数学や、宇宙の謎を解くということにも関心を持っていました。自分が将来何をやりたいのか、何をすべきなのか、僕も悩んでいたのです。そこで僕は行動に出ることにしました。第一線で働いている先輩方に会って、お話を伺おうと考えたのです。

前回、僕の経歴をお話ししましたが、その中でお会いした先生方は、すべて僕から「会ってください、仕事のお手伝いをさせてくだい」とお願いした人たちばかりです。高エネルギー加速器研究機構(KEK)(※1)で加速器を見学し、心臓手術の現場に立ち会い、企業見学をして先生方が組織で働く姿を見てきました。お願いして断られたことは何度もありました。断られれば僕もへこみます。でも僕はめげずに、行動し続けた。そしてその結果、自分の望みを再認識して、生物学の世界に進むことになりました。


KEK(高エネルギー加速器研究機構)を見学し、多田将博士より物理学の講義を受ける。


関係者の許可を得て、南淵明宏医師の、心臓外科手術の現場に立ち会う。


カナダの教育制度について、下村博文文科省大臣(当時)にプレゼン。政治家の役割について説明を受ける。

僕の座右の銘はジャン・コクトー(※2)の「青年は安全な株を買ってはならない」です。リスクを取って挑戦すれば、失敗はつきもの。しかし、挑戦して失敗することこそ若さの証、そう思って行動し続けたわけです。

(※1)高エネルギー加速器研究機構(KEK) :加速器と呼ばれる装置を使って基礎科学を推進する研究所。高エネルギー加速器とは、電子や陽子などの粒子を光の速度近くまで加速して、高いエネルギーの状態を作り出す装置のこと。

(※2)ジャン・コクトー:フランスの芸術家。詩人、小説家、劇作家、画家、映画監督、脚本家として著名なことから「芸術のデパート」と呼ばれた。

行動せよ、さらば与えられん

ここで、ある若者の話をします。

昔、あるところに向上心にあふれる一人の若者がいました。当時高校生だった彼は、マクドナルド社長の藤田田氏に会いに行こうとします。そのころの藤田氏は超多忙で、面会をいつも断っていたそうです。しかし、その若者はあきらめませんでした。断られても何度も電話をかけ、とうとう、福岡から飛行機に乗って東京まで来てしまいます。そして、社長室をたずねてしまうのです。

ついに面会することを許された彼は、「これから有望なビジネスとはなにか」と藤田氏に尋ねたそうです。そんな彼に対し、藤田氏はこうアドバイスしました。「今のコンピュータはこの部屋ぐらいの大きさだが、これからはもっと小さくなる。そしてもっと需要が増えるので、アメリカでコンピュータの勉強をするといい」。

そう、その彼こそ若き日の孫正義氏。ソフトバンクグループの創業をはじめとして、その後の活躍はもう皆さんご存知の通りです1)

大きな功績を残す人々には、ある共通点があります。それは常に行動しているということ、走り続けているということです(山中伸弥教授は実際にフルマラソンを走ったりしていますが、僕の言っている「走る」は比喩的な意味です)。孫正義氏が第一線で活躍し続けているのも、「行動する事業者」であるからだと僕は思います。

 行動し続けることで、「運」を引き寄せ、自分のやりたいことを見つけることができる。

僕はそう思っています

「合成生物学」との出会い

今年の5月、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)で谷内江望准教授の講演会がありました。僕はそこで、谷内江准教授にいろいろとお話を伺いたいとお願いをしました。そして縁あって、先生の研究室でインターンとして働くことになりました。僕は行動することによってポジションを得たということです。そして今、「合成生物学」の研究に嬉々として取り組んでいるわけです。

さて、「生物学」の研究というのはどんな世界なのか、僕がいま夢中になっている「合成生物学」というのはいったいどんな研究分野なのか、次回はその話をしようと思います。

参考文献:

1)Natalie Wong:How a 16-Year-Old Masayoshi Son Scored a Meeting With a Famous Executive. Bloomberg Quint(2017)https://www.bloombergquint.com/onweb/how-a-16-year-old-masayoshi-son-scored-a-meeting-with-a-famous-executive#gs.gSAuZnKz

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